エレキギターを始めてしばらくすると、「アームって本当に必要なのかな?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
見た目はかっこいいけれど、いざ使ってみると「演奏のじゃまになる」「音があまり変わらない」と感じることもありますよね。
それなら、いっそのこと外してしまったほうが良いのでは?と考えるのも自然な流れです。
この記事では、ギターアームのメリットとデメリットをわかりやすく整理し、「いらない」と感じたときの対処法を詳しくご紹介します。
アームなしに向いているギターの選び方や、アームの代わりになるエフェクターも紹介していますので、きっと参考になるはずです。
読み終える頃には、アームに対する見方や使い方に対して、少し自信が持てるようになるかもしれません。
ギターアームを使うべきかどうか迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。
- ギターアームのメリット・デメリットを理解できる
- アームなしで音の変化を加えるテクニックを学べる
- ギター選びやエフェクターの活用方法がわかる
- アームを使わない演奏方法やアーティストの事例を知れる
ギターアームはいらないのか考察

主にストラトタイプのエレキギターに標準装備されていることが多い「アーム」。
しかし、「これって本当に必要なの?」と疑問に思う人は多いです。
ここではアームのメリットとデメリットを詳しく解説し、自分にとって本当に必要かを一緒に考えていきましょう。
- ギターアームのメリット
- ギターアームのデメリット
- エレキギターのアームは外すことができる?
- トレモロアームをつけっぱなしにするとどうなる?
- エレキギターのアームをなくしたらどうすればいい?
ギターアームのメリット

アームはギター演奏の表現を広げてくれるパーツのひとつです。
うまく使えば、音の雰囲気やリズムに変化を与えることができ、演奏の幅がぐっと広がります。
まずはアームを使うことで得られるメリットを見ていきましょう。
音に深みを加える効果
ギターアームを使うと、弾いた音に「揺らぎ」を加えることができます。
この揺らぎが音に立体感や深みを生み、ただコードを鳴らすだけでは出せない表情が演出できます。
特にクリーントーンでのアルペジオやバラードでは、アームを軽く押したり引いたりすることで、柔らかく波打つような音を作り出せるのが特徴です。
音の雰囲気をふわっと包み込むように変えたい時にぴったりの効果です。
弦の音程を簡単に変えられる
アームを使えば、弦を押さえたままで音程を下げたり上げたりすることが可能です。
これにより、ペグを使ってチューニングを変えることなく、一瞬で音の高さを変化させられます。
例えば、ソロの終わりに音を一気に下げて印象づけたり、コードの響きを一瞬だけ変えて雰囲気を出したりと、応用の幅が広がります。
指の動きだけでは難しい表現も、アームを使えばスムーズに行えます。
演奏に個性的なエフェクトを追加
アームを活用することで、音にユニークな揺れや変化を与えることができ、聴く人の印象に残る演奏が可能になります。
ギュイーンと音が波打つような効果や、シュワシュワと崩れるような響きなど、手元で簡単に音をいじれるのが魅力です。
こうしたアームを使った独自のエフェクトは、あなたの演奏スタイルをより個性的に演出するための武器となるでしょう。
リズムに変化をつけやすい
リズムの中でアームを使ってタイミングよく音を揺らすことで、演奏全体にグルーヴや動きを与えることができます。
例えば、コードストロークの最後にアームを少し動かすだけで、締めの雰囲気がガラリと変わります。
特にファンクやロックなどリズムが重要なジャンルでは、アームの使い方ひとつでノリが良くなることもあります。
音だけでなくリズムにも影響を与える便利なツールです。
演奏の自由度が広がる
ギターアームは音やリズムの変化だけでなく、演奏そのものの自由度を高めてくれます。
たとえば、ソロの途中で音をうねらせたり、曲の雰囲気に合わせてダイナミックな演出を加えたりと、通常の弾き方では出せない表現が可能になります。
アームがあることで、アイディアを即興的に音へと変換できるチャンスが増え、表現力豊かなプレイヤーを目指すうえで強い味方になります。
ギターアームのデメリット

アームには便利でカッコいい一面がある一方で、注意しなければならない点もいくつか存在します。
演奏を快適に続けるためには、そうしたデメリットも知っておくことが大切です。
ここではアームを使うことによる問題点を見ていきましょう。
チューニングが不安定になりやすい
ギターアームを動かすと、ブリッジやナット部分に強い負荷がかかり、弦がわずかにズレることがあります。
これによってチューニングが狂いやすくなるのが、アームの大きなデメリットのひとつです。
特に激しくアームを使うプレイスタイルだと、1曲の中でも何度もチューニングがずれることがあり、演奏のたびに再調整が必要になることもあります。
初心者にとっては扱いにくく感じる部分かもしれません。
演奏が難しくなることがある
アーム付きのギターは、ブリッジの構造が複雑なことが多く、特にフローティングタイプのトレモロユニットは少しの弦の張力変化でも影響を受けやすいです。
そのため、ピッキングやチョーキングの加減によって音程が不安定になったり、意図しない揺れが発生したりすることがあります。
また、アーム自体の操作にも慣れが必要で、無理に使うとリズムが乱れる原因にもなるので注意が必要です。
メンテナンスに手間がかかる
アームが搭載されたギターは、その分パーツが増えており、定期的な調整や掃除が必要になります。
特にスプリングやブリッジのネジの締まり具合などは、少しでもズレると演奏に支障をきたす場合があります。
また、弦を交換する際も、アームのテンションバランスを崩さないように気を配らなければならず、メンテナンス初心者には少々ハードルが高く感じられるかもしれません。
音が不安定に聞こえやすい
アームを使った直後や、弦のテンションが一時的に変わった際には、出る音がやや不安定に感じられることがあります。
特にクリーントーンではその揺れやズレが目立ちやすく、思ったような響きにならないと感じることもあるでしょう。
細かいピッチのズレが積み重なると、演奏全体がぼやけた印象になることもあるため、音の安定性を重視するプレイヤーにとってはストレスになることもあります。
弦の寿命が短くなるリスク
アームを頻繁に使うと、弦が常に引っ張られたり緩められたりする状態になります。
そのため、金属疲労によって弦の劣化が早まり、通常よりも早く切れてしまうことがあるのです。
また、アーム操作によってナットやブリッジとの摩擦も増えるため、特定の部分だけが痛んでしまうケースも少なくありません。
弦の交換頻度が上がることで、コストや手間がかかる点も意識しておく必要があります。
エレキギターのアームは外すことができる?

基本的にエレキギターのアーム(トレモロアーム)はネジ式で取り付けられているため、簡単に取り外すことができます。
特にストラトキャスタータイプのギターでは、アームをくるくると回すだけで取り外し可能です。
取り外しても演奏に支障はありませんが、ブリッジの構造によってはアームを外した状態でブリッジが不安定になることがあります。
その場合は、スプリングを調整したり、ブリッジをボディに固定するなどの対処が必要です。
また、アームを外すと音の揺れを作る効果は得られませんが、チューニングの安定性が向上するというメリットもあるため、アームを使わないスタイルの人にはおすすめです。
トレモロアームをつけっぱなしにするとどうなる?

トレモロアームをギターにずっと取り付けたままにしておくと、いくつかの影響があります。
まず、演奏中にうっかりアームに触れてしまい、意図しない音の揺れが発生する可能性があります。
また、アームがブラブラして弾きづらさを感じることもあります。
さらに、長期間つけっぱなしにすると、ブリッジやアームのネジ部分が摩耗し、アームが緩みやすくなる場合もあります。
ただし、しっかりと固定しておけばそれほど問題にはなりません。
普段から頻繁にアームを使う人であれば、つけっぱなしでも問題ないですが、あまり使わない人は演奏の安定性を保つためにも、不要なときには外しておくのが無難です。
エレキギターのアームをなくしたらどうすればいい?

ギターのアームを失くしてしまった場合でも、慌てる必要はありません。
まず、そのギターに対応した交換用のアームを購入することが可能です。
ギターブランドやモデルごとにネジのサイズや取り付け方式が異なるため、自分のギターに合ったアームを選ぶことが大切です。
楽器店のスタッフに相談すれば、適合するパーツを紹介してくれるでしょう。
もしアームを今後使う予定がないのであれば、そのまま使っても構いません。
ただし、フローティングブリッジの場合は、アームがないとブリッジが中途半端に浮いた状態になることがあるため、スプリングを調整して固定するなどの対応をすると、チューニングが安定して弾きやすくなります。
ギターアームはいらないときの対処法

「アームって自分にはあまり必要ないかも」と感じたとき、どんなギターを選ぶべきか迷ってしまうこともあるかもしれません。
ここでは、アームなしで快適に演奏できるギターの選び方と、そのポイントについてわかりやすく解説していきます。
これからギターを買い替える人や、アームなしで演奏に集中したい人におすすめの内容です。
- アームなしに向いてるギターの選び方
- ギターアームの代用になるエフェクター
- アームなしエレキギターの演奏テクニック
- ギターアームなしのアーティストとは?
- ギターアームを使いこなせなかった話
アームなしに向いてるギターの選び方
アームを使わないスタイルのギタリストにとっては、最初からアームのついていないギターを選ぶことで、演奏のストレスが減り、メンテナンスも楽になります。
では、具体的にどのようなタイプのギターがアームなしに向いているのでしょうか。
選ぶ際に注目したい5つのポイントを紹介します。
トレモロシステムがないモデルを選ぶ
トレモロシステムとは、アームで弦の張力を変化させる仕組みのことです。
この機能が搭載されていないギターは、ブリッジが固定されているため、チューニングが安定しやすくなります。
アームを使う予定がないなら、あえてトレモロシステムがないモデルを選ぶことで、余計な機能に悩まされることなく、純粋に演奏に集中できます。
初めてギターを選ぶ人にもおすすめの選択肢です。
固定ブリッジを採用したギターを選ぶ
固定ブリッジ(フィクスト・ブリッジ)は、ブリッジがボディにしっかりと固定されている構造です。
このタイプは弦の張りが安定しやすく、チューニングの狂いが少ないのが特徴。
アーム付きのフローティングブリッジと比べて構造もシンプルで、メンテナンスも容易です。
特にバンドでのライブや長時間の練習でも、安定した音で演奏を続けられるのが大きなメリットです。
シンプルなデザインと構造のギターを選ぶ
アームを使わないスタイルなら、余計な機能を省いたシンプルなギターが使いやすく感じるはずです。
たとえば、コントロールノブが少なく、構造がわかりやすいモデルは、初心者にも扱いやすくトラブルも少ないです。
装飾や特殊機能よりも、弾き心地や音の安定性を重視して作られているギターを選ぶことで、演奏のしやすさがぐっと上がります。
安定したチューニングが得られるギターを選ぶ
アームがないぶん、チューニングの安定性はより重要な要素になります。
チューニングがすぐに狂うギターでは、練習やライブでストレスを感じやすくなります。
ペグ(弦を巻く部分)の精度が高いモデルや、ナット部分の加工がしっかりしているギターは、弦がスムーズに動き、安定したチューニングを保ちやすくなります。
アームを使わないぶん、音程の正確さが武器になるのです。
弾きやすいネックとボディ形状のギターを選ぶ
アームを使わず指の表現力だけで音を操るなら、ネックの握りやすさやボディのフィット感も大切なポイントです。
手の小さい人には細めのネックが、長時間弾く人には軽量でバランスの良いボディが向いています。
自分の手に合ったギターを選ぶことで、無理なく自然なフォームが身につき、演奏も上達しやすくなります。
試奏してフィット感を確かめることも大切です。
ギターアームの代用になるエフェクター

ギターアームを使わずに、似たような音の変化や表現を加えたいときには、エフェクターの活用がおすすめです。
ここでは、アームのような効果を出せる代表的な5つのエフェクターを紹介します。
どれも使い方次第で、独特な音の揺れや変化を演出できるため、アームがなくても幅広いサウンドメイクが可能になります。
トレモロ
トレモロは、音量を周期的に上下させるエフェクトで、ギターアームを使ったような「揺れ」のあるサウンドを演出できます。
深くかければ不安定な雰囲気に、軽くかければ心地よい波のようなリズム感が生まれます。
スピードや深さを調整できるため、曲調やフレーズに合わせて柔軟に使えるのも魅力です。
アームの代わりに使うことで、リズミカルなアクセントが加わります。
ピッチシフター
ピッチシフターは、音程を上下に変化させるエフェクターで、アームで音を「下げる」「上げる」といった操作に似た効果が得られます。
特定の音だけを半音~数音高く(または低く)変化させることができ、独特な浮遊感や近未来的な雰囲気を作り出せます。
ソロやフレーズのアクセントとして使えば、アームがないギターでも一味違う表現が可能になります。
フランジャー
フランジャーは、音に金属的でうねるような効果を加えるエフェクトです。
アームでゆっくり音程を揺らしたような、不思議な空間の広がりを持った音になります。
ロックやサイケデリック系の楽曲によく使われ、ソロやバッキングに個性的な味付けを加えたいときにぴったりです。
アームを使わずに、音に動きを加えたい場合に便利な選択肢となります。
コーラス
コーラスは、原音に少しずれた音を重ねることで、まるで複数のギターが同時に鳴っているような厚みと広がりを出せるエフェクトです。
軽めにかければ自然な空気感、強めにかければ幻想的で揺れを感じるようなサウンドになります。
アームを使わなくても、音に奥行きと表情を持たせたいときにとても役立ちます。
コードプレイやクリーントーンとの相性も抜群です。
ディストーション
ディストーションは、音を強く歪ませて迫力のあるサウンドを作り出すエフェクトで、アームのように音を揺らす効果は直接ありませんが、強いサステインや音圧によって独自の表現力を引き出せます。
アームなしでギターをかっこよく聴かせたいとき、特にロックやメタル系の演奏では欠かせない存在です。
攻撃的なサウンドで、アームの代わりに演奏の勢いを伝えることができます。
アームなしエレキギターの演奏テクニック

アームを使わなくても、指先のテクニックを磨けば豊かな表現力を持つプレイが可能です。
ここでは、アームなしで音の揺れや変化をつけるために効果的な5つのテクニックを紹介します。
これらをマスターすることで、アームがなくても魅力的なギターサウンドを作り出せるようになります。
ビブラート
ビブラートは、指で弦を細かく上下に揺らして音程を変化させるテクニックです。
ゆっくり深くかけると感情的なニュアンスが出せて、速く浅くかければ鋭く個性的な印象を与えられます。
アームで得られる揺れに近い表現が可能で、特にソロパートでの表情づけに重宝します。
ビブラートの質がプレイヤーの個性を映し出すといっても過言ではない、大切な基本技術です。
ピッチベンド
ピッチベンドは、弾いた後の音を指で押し上げたり引き下げたりして音程を変えるテクニックです。
アームで音を上下に動かす動きに非常に近い表現ができ、より歌うような演奏を可能にします。
チョーキングとも呼ばれ、ブルースやロックのギターソロでは欠かせない技術です。
音程のコントロールが難しいですが、マスターすると圧倒的に表現力が増します。
スライド
スライドは、弾いた指をそのまま別のフレットへ滑らせて、音をなめらかに移動させるテクニックです。
アームで音程を変えるような効果に近く、流れるようなメロディや情緒あるフレーズを作ることができます。
コードの切り替え時にも使え、演奏に動きと感情を加えたいときに有効です。
音のつながりを意識しながら使うと、とても自然で美しい表現が可能になります。
トレモロピッキング
トレモロピッキングは、1つの弦を高速で連続してピッキングすることで、音に揺れや緊張感を加えるテクニックです。
アームのような揺らぎとは異なりますが、音の勢いとスピード感を強調できます。
ハードロックやメタルなど、アグレッシブなサウンドでよく使われ、サビや盛り上がるパートで活躍します。
手首の柔らかさとリズム感がポイントです。
ハンマリング・オンとプル・オフ
ハンマリング・オンは、弦を弾いたあとに別の指で弦を叩いて音を出す方法で、プル・オフは弦を引っ張って音をつなげる方法です。
どちらも滑らかな音のつながりを作ることができ、アームがなくてもなめらかなメロディラインを表現できます。
速いフレーズやソロで使うととても効果的で、指先の力加減を意識することでより自然な演奏が可能になります。
ギターアームなしのアーティストとは?

実は、アームを使わないスタイルで活躍している有名アーティストもたくさんいます。
たとえば「ジミー・ペイジ(Led Zeppelin)」や「マルコム・ヤング(AC/DC)」は、アームを使わないシンプルで力強い演奏スタイルで知られています。
また、「ジョン・メイヤー」もアームを多用せず、指のテクニックで豊かな表現をしています。
こうしたアーティストたちは、ビブラートやチョーキング、スライドなどの演奏技術を駆使して、アームに頼らないサウンドを生み出しています。
アームがなくても、自分らしい音を追求することは十分可能だということが、彼らのプレイからよくわかります。
ギターアームを使いこなせなかった話

筆者が初めて買ったエレキギターは初心者セットのもでしたが、一応アームがついていました。
しかし、アームはペラペラで、ただの鉄の棒としか認識していなかったです。
ギターを弾いているときに当たるし、動かしてみても音が変わりません。
アームの利点がよくわからなかったので、必要ないと思って外していました。
ところが、友人のフェンダー(ストラトキャスター)を見て印象が変わります。
軽くバッキングしてアームを動かしているだけなのに、まるでエフェクターを使っているように、グワングワン音が揺れるのです。
そのとき初めてアームの魅力がわかったし、必要なものだったんだと気付かされました。
アームプレイは難しいですが、練習すればさまざまな色を出せるアイテムだと思います。
アームが使いこなせないからといって、「いらない」と思うのは浅はかだと反省しました。
ギターアームはいらないの総括
記事のポイントをまとめます。
- ギターアームには音に表情や深みを加える効果がある
- アームを使うことで音程を簡単に変えることができる
- 個性的なエフェクトを加えられるのがアームの魅力の一つ
- リズムやニュアンスに変化を加える演奏が可能になる
- アームを使うと演奏の自由度が広がる
- アームはチューニングの不安定さを引き起こす原因にもなる
- 初心者にとってアームの操作は難しく感じられることがある
- アーム付きギターはメンテナンスに手間がかかる
- ギターの品質によってアーム効果の出方が異なることがある
- アームなしでも代用できるテクニックやエフェクターがある